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2012年7月 5日 (木)

合唱の影響

月の一度の岡山市での歌う人の講座“Soloc"
Soloで歌えるようになるためのCourseというわけで
この名前をつけてから数年が経つ。
もともとは2008年3月に閉校になった、岡山駅前にあった
朝日カルチャセンターの講座だった。

私が朝日カルチャーで講座を持つことになったのは1999年。
すでに「声のトレーニング」「○○と名曲を歌いましょう」などという
クラシックの歌の講座が7講座あった。

そこで少し違った感じをタイトルでも出したいと、
「声と身体のメンタルクリニック」
という講座名にしてみた。
すると、いかにも弱々しい人たちが集まってくるではないか(笑)。
どうも「メンタル」という言葉が持つ力?!らしい。

というわけで、ちょっと困って
「声と身体のバランス調整レッスン」
「気持ちのいい声とからだのレッスン」
と次々と名前を変えることとなった。

内容説明はほとんど変わらず、タイトルが変わる。(笑)
しかし、それによって来られる人のカラーも少しずつ違った
。。。のは何とも不思議だった。

その間、私は2001年にアメリカで、アンドーヴァー・エジュケーターの資格を
得て、「ボディ・マッピング」を教えるようになったから、
少しアプローチの仕方も変わってきた。
しかし結局最後まで、「ボディ・マッピング」という言葉を
朝日カルチャーの講座の中では使わなかった。
不思議な気もするが、今頃になってなるほどなと、自分で納得していたりする。

なぜなら、「ボディ・マッピング」がわかるようになることが目的ではなく、
歌えなければいけないわけだから。
しかも、自分が苦しくなく負担なく、気持ちよく歌いたい。
それは私の中でずっと変わっていない。

なんと窮屈に歌っている人、
からだをしっかり使っていると思いこんでいるが、
ただ雁字搦めになっているだけの人が多いことか。

そして、まじめな人ほど陥りやすい
声や身体のパラドックスがあることか。

それらをなんとか助けたい。


さて、今日の講座、先月の倉敷での講座
「歌う人なら誰でも知っておきたい『からだ』のこと」・『呼吸』のこと」
に参加された人が2人新しく来られた。

一人は地震のために、川崎から岡山に引っ越して来られた30代女性Aさん。
もう一人は80歳の男性、龍笛の先生Bさん。

Aさんは学生時代から合唱に親しみ、社会人になってからも
ずっと歌われていた、癖の少ない美しいソプラノの声。
今日は”Caro mio ben"を歌われた。
一瞬にして、皆のあこがれの視線がそそがれる。

が、私がまず感じたこと。
「Aさんは自分の声をどう聞いているのだろう?」

そこで私はこう指摘し始める。
「今、ソロで歌われているのに
合唱を長らくしておられたことがよくわかります。
なぜなら、自分の声が主役ではなく、
他の外の音が主役になっていませんか?

今、確かに私は伴奏を弾いていますが、
それに合わせるのではなく、
まずは自分の声を主役として歌ってください。
合唱では他のパート、今はピアノ伴奏は
あなたが自分でコントロールできる音ではなく
コントロールの外にある音です。

なのにそれをあたかも自分でコントロールできるように
自分の声と同じように
聴いていませんか?
それは貴女の外にある音です。

あなたの耳の中で、自分の歌が主役なら、どうなりますか?
あなたが出す音以外は自分でコントロールできないとわかって歌うと
どうなりますか?」

Aさんは、何かにハッと気づいたようだ。
もう一度歌い始める。
少しこもり気味だった声が、明らかにすっきりとしている。
どんどん声が変わってくる。

それに私も伴奏が弾きやすい。
なぜなら、彼女がどう歌いたいのか、わかるからだ。

ここのところ、長い間合唱を楽しんでおられる新しい方が
講座や個人レッスンに来られる。
合唱独特の落とし穴を私は瞬時に感じてしまう。

・歌える自分が主役で、その主役の自分が指揮者や他の人に合わせるのではないかと
私は思うのだけれど。でないと、本当の意味では合わせられないのでは?
だって、合わせる主体の調子が崩れていては、合わせられないでしょう。
相手がどうしたいかもきちんと判断できないと思うし。

・どうやったらいい声が出るか、
息が長く続くのか、どうやってたら高い声が出るのかを学ぼうとしすぎて、
有名な先生方の発声に対する指示の仕方が少しずつ違い
(あるいは時に真逆で。。。笑)
それらに振り回されたり、あまりにもその通りにするあまり、
自分でどうしたらいいのか、自分がどうなっているのかわからなくなっている、
かなり上手な人。。。。もったいないです。

自分をもっと信頼して、
自分が『歌える感覚』を育てましょう。

まずは先生の言いなり、言うとおり。。。というのは間違えていますよ。
先生が何を意味されているのか、
うまく取り入れられたらいいですね。

そのポイントは、
自分への「信頼」を持つこと、
変化へのからだの、あるいは動きへの「気づき」、

そのためには
「からだ」があること

が必要ではないかなと思っています。


よくわからなくなったら、
いろいろ考えるのではなく、
一旦、歌うことから離れて、
自分の感覚を取り戻し、
気にしないでおおらかに歌うことを
やってみたらいい時もあるのではないでしょうか。

だってなんといっても、
歌う愉しみを大切にしたいですから。

継続は力なり、
でも、休憩も力なり
ではないでしょうか。

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コメント

ありがとうございます。本人です。
先生のおっしゃることが身にしみます。
のびのび笑顔で歌いたい、でも緊張してしまう。歌は大好きなのに何故…?と、心がモヤモヤしておりました。
でも、ご指導を受けたことによって初め
て自分を振り返りました。果たして、今この瞬間、私は楽しんで歌っているのだろうかと。
そうなると、細かい技術面や表現を考えるのは、後回しでいいから、試しに周り
を気にせず歌いたいように歌ってみよう
と素直に思えました。自信のなさが、これ程まで声の響きや歌い方にも影響していたのは驚きました。先生に、ズバッと言っていただいて本当に感謝しておりま
す。

この先、不完全な自分にワクワクしながらもやれそうな感じがします。
歌に限ったことではないですが、やらなければならないからではなく、やりたいからやってみる。そして自然体にやっていたらありたい自分にたどり着けていた
というようになれたら良いなぁ思えました。これからもよろしくお願いします。本当にありがとうございました。

投稿: ひろ | 2012年7月10日 (火) 20時40分

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